『おにゃんこTOWN』とは主人公の親猫が子猫を家まで連れ帰るファミコンソフトである。その難易度はパッケージから想像できないほど高い。行く手を阻む敵をかわして、ひたすら子猫を探し歩く。すなわち子を思う母心を体験できるハートウォーミングなタイトルなのだ。

 街中で遭遇する敵は犬、蛇、車、魚屋のオヤジの4種類。
 犬は登場する数が多く、種類も多い。唯一倒せる敵でスコアを稼ぐのに役立つ。後半になると凶悪になり、速度が上がり、行動パターンが変化していく。開けっ放しのマンホールを回避してくるので、引きつけてから開けるテクニックが必須となる。不思議なことに子猫とすれ違っても決して襲わない。狙われるのは親猫のみ。犬にもキャッチ&リリースの心があるのだと教えられた。
 蛇はマンホールを開けると現れる難敵。倒せないのでもう一度マンホールの中へ戻してあげよう。画面から消しても効果はありません。地上にいる間は謎のヘビ音が鳴り続けるという精神攻撃も仕掛けてきます。出現後は最優先で手を打ちましょう。
 車は片側一車線の道路を時折駆け抜けていく。当然接触すれば命はありません。敵意は無さそうなのでタイミングを見て避けましょう。ただし運転しているのが人間かどうかは不明。
 魚屋のオヤジは普段は優しいナイスガイです。魚を取ると怒り狂い、包丁を振り回して親猫を追い掛けて来ます。銃刀法違反で捕まりそうですが、おにゃんこTOWNでは問題無さそう。むしろ人間がいることを証明してくれる大切な存在。サザエさんのOPにインスパイアされたかどうかは不明。

 次にプレイヤーである親猫について。なぜか正面であればどんなに遠いマンホールでも開閉することができる。特殊な能力ではあるが、生命線となる重要なスキルである。犬をまとめて閉じ込めれば気分も晴れやか。ただし、犬を落としてばかりだと永遠にクリアできないので注意すべし。
 もう一つ切り札というべき武器がある。それが「お魚あたっく(仮)」だ。魚屋にある魚を取ることでパワーアップ。移動速度が上がり、犬に当たっても死ななくなる。しかし、この技は欠点が多い諸刃の剣としても有名なのです。効果時間が短いことと魚屋のオヤジが襲ってくること。問題は後者で、とにかく魚屋のオヤジは足が速い。子猫をくわえた状態だと追いつかれるので、絶対にフリーの状態で盗りましょう。ちなみに犬以外の敵(蛇や車)に当たると問答無用で死にます。仰る通り、ハイリスク、ローリターンです。それでも魚を取るのは何故かって? それは猫だからさ!(ニャオーーン)

 クリア条件は子猫を家まで連れて帰ること。しかし、この子猫がなかなかの曲者なのです。ヒントやレーダーは無く、ひたすらに足を使って探すしかない。もし見つけてもいきなり捕まえるのはナンセンス。まず家の方向と距離、マンホールの位置をしっかりと確認しておく。というのも子猫を捕まえた瞬間からジャンプが出来なくなり移動速度が落ちる。つまり子猫を捕まえてからが本当の戦いなのである。マンホールだけで犬をかわすのは至難の業だが、それを潜り抜けないと団らん(勝利)は得られない。子育てがいかに厳しいものか、プレイを通して教えられた気がする。それはいいとしても親猫ばかり狙ってくるのはどういう了見か。無事帰宅したら早急にこの街から引っ越すべきだろう。

 おにゃんこTOWNは不思議な街である。猫も犬も二足歩行が当たり前。それでいて人間もしっかり存在している。一番の謎は"おにゃんこ"が主人公親子しか登場しないことだ。仲間のおにゃんこが居ても良さそうだがいないものはいない。これなら名前を『わんわんTOWN』にするべきだろう。世界観は悪くなかったので、もう少し遊べるギミックが欲しかったにゃ〜。


戻る