SCSノ部屋

◆ 第1回「無敵の龍」
S:「どうも、管理人のSです」
S:「この度“SCSノ部屋”と題しまして、1人のキャラクターにスポットを当てるという趣旨の企画を立ち上げました」
S:「ちなみにSCSとは“SNKのキャラを紹介していこう!”の略です」
S:「それでは今回のナビゲート役を紹介します。どうぞ」
リ:「はじめまして、リョウコです」
リ:「格闘ゲームが大好きで、その気持ちがたくさん出せればといいなと思っています」
リ:「精一杯がんばりますので、よろしくお願いします」
リ:「記念すべき第1回目のテーマは“無敵の龍”こと『リョウ・サカザキ』です」
リ:「龍虎の拳シリーズや餓狼伝説SP、KOFシリーズでも登場している人気キャラですね」
S:「NEOGEOバトルコロシアムにSVCもだな」
リ:「あ、そうでしたっけ?」
S:「あと忘れてならないのが武力ONEだ」
リ:「……ぶりき、わん?」
リ:「なんだろ、ブリキの犬同士が闘う、とか?」
S:「ワンじゃない。英語のONEだ。意味は知らん」
リ:「面白いんですか?」
S:「……何がだ」
リ:「いや、そのぶりき、ONEって」
S:「ん……意欲作であったのは間違いないな」
リ:「はぁ」
S:「ボタンとレバーを入れ替え、重心システムを取り入れるなどリアル思考で実に斬新だった。そう、とても斬新だったよ」
リ:「そうですか。じゃあどこかで見かけたらやってみますね」
S:「見かけたら、か……ふっ」
リ:「……もう出来ないんですね」
S:「いや、夢を抱き続けるのはいいことだ。その気持ちさえ忘れなければいつかは叶う時が来る」
リ:「あのぅ、別に夢でもなんでもないんですけど」
S:「諦めたらダメだ! 追い続けていれば、きっとなんとかなる。そうすればいつの日か体感することになるだろう。そう、あれは忘れもしない暑い日だった――」
リ:「え〜っと、つまりは作品の垣根を越えて様々なタイトルに登場している、ということを言いたかったわけです。これからの活躍も期待大ですね」
S:「私の夢は龍虎3だぞぉぉーー」
――――――――◆
S:「先ほどは取り乱し、大変失礼致しました」
リ:「それでは次に設定と遍歴についてです」
リ:「リョウといえばKOFでは貧乏キャラを前面に押し出し、お笑いキャラとしての地位を確立させましたね」
S:「まぁ、キャラの性格が月日を経て画一的でなくなるのはよくあることだ」
リ:「イメージは大切ですよね」
S:「SVCにおいてはただのチンピラだからな。やりすぎの感は否めなかった」
リ:「たしかに少しあぶない言動になってかも」
S:「だが、生き残っていくためにはギャグ路線も必要だったといえる。龍虎の拳の続編が作られなくなった今、ただのKOF出場選手に過ぎないのだから」
リ:「改めましてリョウ・サカザキの歴史を細かく振り返っていこうと思います」
リ:(うわ、何このぶ厚い原稿は。め、めまいが……。こんなの全部読んでたらきりがないわ。それに内容も難くて全然おもしろくないし。よく考えたらわたしがナビゲーターなんだから、好きなようにしてもいいわよね)
リ:「リョウ・サカザキ。極限流空手の創始者を父に持ち、子供の頃から武術を教わっていた」
リ:「えー、母が事故に遭い、妹が誘拐され、ついには主人公の座を追われる。嗚呼、悲しき運命のいたずら」
リ:「ま、人生なんてこんなものよね。あははっ」
リ:「以上が龍虎の拳の歴史です。次はKOFの――うわっ、ちょっといきなりチ○ルチョコ投げないで下さいよ」
S:「こら、ちゃんと原稿を読め。それは寝る間も惜しんで書いたんだぞ」
リ:「でも、あんなにだらだらと説明されたら誰も読まないと思いますよ?(よく見ると途中でパラパラマンガに逃げた形跡があるわ)」
S:「まぁ、たしかに情報を詰め込み過ぎた感は否めんが」
リ:「そうなんです。私も1人の読者として、こういう決断も必要なのではないかと思ったんです」
S:「それも一理あるか……仕方が無い。ではリョウコくん、任せたよ」
リ:「はいっ、もうどかーんと任されちゃいます!」
S:「何で破裂音なんだよ……」
――――――――――――◆
リ:「では次にリョウ・サカザキのKOFの歴史についてです」
リ:「ご存知の通りKOFでは原作のがっしりした容姿とは異なり、スリムな体型になっています」
リ:「たしかに原作のは暑っ苦しくて使う気にもなれないですもんね。あははっ」
リ:「そんな理想的な――いたっ、もう、○金チョコ投げないで下さいよー。これ結構大きいから危ないんですよ?」
S:「あー、もう余計なことばかり言うんじゃない。それとその伏字、ほとんど意味を成してないぞ」
リ:「ほーはんへふは?」
S:「言ってる側から食べるな! まったく、どういうつもりなんだ」
リ:「いや、なんかこう感想とか入れたほうが楽しいかなぁ、と思って」
S:「別に感想を否定するつもりはない。ただ、もう少しオブラートに包むような言い方とか出来ないのか」
リ:「だって回りくどいと伝わらないかなぁとか思って――」
S:「あれだな、とにかくキャラに対するリスペクトの心が足りないんだ」
リ:「そんなことないです。わたしはずっとリョウ一筋だし」
S:「ほう、そうなのか。じゃあリョウコくんはどういうチームを組んでいるのかな?」
リ:「えっと、リョウと、き、京サマと、いおりん
S:「どこが一筋なんだよ。しかもその面子だとリョウが浮きまくってるぞ」
リ:「そ、そんなことないです。リョウはずっと使い続けてたし、誰にも負けない自信があります!」
S:「大きくでたな。ならばもう言葉は不要。その実力試させてもらう! はぁぁっ」
リ:「!?」
S:「ふっ、よくぞかわした」
リ:「今のは虎煌拳!? あなた、まさか!」
S:「そうだ。何を隠そう私は極限流空手の使い手」
S:「1フレーム、1ドットまで調べ上げ、研究を重ねた末に会得した血と汗と腱鞘炎の成果なのだ」
リ:「たしかに只者じゃないって思っていたわ(腱鞘炎はゲームのやりすぎだと思うけど)」
リ:「でも、わたしは負けないっ」
S:「ほぅ、敵う相手と見たか? 笑止!!」
リ:「やってみなければわからないわ。勝負よ!」
S:「おっと、ここでは私の大事なオフィスが大変なことになる。表の公園へ出ようか」
リ:「オフィス……物置じゃなかったのね」
――――――――――――――――◆
S:「……風が出てきたな」
リ:「感傷に浸るのも今のうちよ」
S:「む、それは――天地上下の構えか!?」
リ:「甘く見ないで。通信教育で覚えた技の数々、使う時が来たようね」
S:「金に物を言わせた力なぞ、おそるるに足りぬ。というか極限流空手に通信教育なんてあったんだな」
リ:「うるさいわねー。じゃあ行くわよ、MAXはおー、しょーこー……」
S:「ちょ、待て待てっ! いきなりそんな大技使っちゃダメだろ」
リ:「何でよ、そんなの私の勝手じゃない」
S:「勝負は駆け引きなのだ。だいたいMAX超必殺技は発動しないとゲージ効率がああぁーーー」
リ:「あ、当たった」
S:「くぉらあぁぁ! 人が話してる時は攻撃しちゃいけないというセオリーを知らんのかっ」
リ:「いや、だってゲージ使っちゃったから。もったいないしー」
S:「もったいないしー、じゃねぇぇ! 見ろ、こっちの体力が半分になったじゃないか」
リ:「そりゃMAXだもん、当然でしょ」
S:「まったく。だが、このくらいのハンデがなければ面白くない。では、次はこちらからいくぞ、遠立ちB固め、ふっ、ふっ、ふっ」
リ:「うー、何なのこのネチネチした攻めは。いやらしい性格がにじみ出ているわね」
S:「何とでも言え、続けて96雷神剛!」
リ:「うぅ、出始めのガードポイントに加え弱虎砲で間合いが離れて反撃出来ない。ただの滑るしゃがみアッパーなのになんてローリスクなの」
S:「ふっふっふ、少しは手を出したらどうだ? 固まったままだと少しずつ体力を削られていくぞ」
リ:「このままでは……ならこれで、チェンジモード01!」
S:「暫烈拳からのMAX乱舞狙いか。相変わらず力押しだな」
リ:「やってみなければ分からないわ。おりゃりゃりゃーー」
S:「そんな直線的な攻撃が当たるものか。そら上段受け、下段受け」
リ:「う、全ての攻撃が読まれてる。一発も当たらないなんてそんな――」
S:「択を仕掛けることも知らん小娘風情が。では、こちらから行くぞ」
リ:「うわっ、連舞拳通常追い討ちから更に連舞拳ってムキー!」
S:「HAHAHA、いくら崩し能力に難があっても、工夫次第でいくらでも攻めを持続出来るのだよセニョリータ」
リ:「まずい、まずいわ。いつの間にか体力バーが赤く点滅してる。何か手は……」
S:「残念だよ、たった一度しかクリーンヒットが無いとは。万策尽き果てたといったところかな?(その一度がMAX覇王だからたまったもんじゃないが)」
リ:「こうなったら、やけくそよ。まだ完全にマスターしてないけど、んんーー、モードチェェンジ!」
S:「どんなに足掻いたところで結果は同じだ。さぁ、神に祈りなさい」
リ:「いいえ、私はまだ諦めたりしないわ(でも、このモードって何が強いのかしら。ぜんっぜんわかんないよ〜)」
S:「そろそろ終わりにさせてもらう。MAX発動! 裏98弱虎砲連発だっ」
リ:「隙が少なすぎて手が出せない。このままじゃ削り殺されてしまうわ。(どうしたら、えぇーい、ままよっ)」
S:「ふははは、このアマチュアがぁああああ!」
リ:「――今だ! 一撃ぃ、ひっさぁーーつ!!」
S:「く、MAXのせいで離れすぎたか。ならばこちらも一撃、必殺!!」
リ:「きゃああぁーー」
S:「ぎゃぴりーーーん」
―――――――――――――――――――◆
リ:「(気絶から回復)……はっ!? わたし、まだ生きてる?」
S:「み、見事だ」
リ:「はぅぅっ! き、急に後ろから声かけないでよ。あー、心臓が止まるかと思った」
S:「この勝負、リョウコくんの勝ちだ」
リ:「え? でも、MAX天地覇煌拳は気絶するだけでダメージは大した事無い技でしょ」
S:「気付いてなかったのか。リョウコくんは最後にき――!! ぐふぉああっ!」
リ:「うわ、ちょっとだいじょうぶ?」
S:「嗚呼……いい風が来ました。そろそろ頃合いです」
リ:「え〜と、なに言ってんの?」
S:「私は召されるのです」
リ:「は?」
S:「(拳を高々と突き上げ)天へ!!」
リ:「なに? きゃっ、急に風が!?」
リ:「……あれ、いなくなっちゃった」
リ:「どうしてだろう、勝ったはずなのに残ったのは虚しさだけ」
リ:「そういえば私、何でこんなことしてたんだっけ」
リ:「あーーっ、仕事の交換条件だったロバートコイン(ネオジオCD版龍虎外伝の初回限定品)をまだ貰ってなかった……」
リ:「ま、いっか」

 吹き抜ける乾いた風はすでに夏を感じさせた。リョウコは乱れた髪を適当に整えながら、どこのゲーセンに行こうかと頭を悩ませる。
 今年の夏はいつもより暑くなりそう。なんとなくそんな気がした。
――終
S:「次回? あるのかネェ……」


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